【米国大学】大学院と大学学部の違い

はじめに

学士で卒業したばかりの人や、社会人になって何年か経った人にとっては、大学院で学ぶことは、カルチャーショックとなるでしょう。

ほとんどの人が、大学院での学びは単なる学部時代の勉強の継続だと考えますが、実際には、割かなければいけない時間、お金、覚悟は、学士を取得するよりはるかに大きいです。この大きな違いを理解することは、多くの人がつまずく落とし穴を回避するために重要です。

より厳しい審査

大学院進学に必要なテストであるGREでは、大学に進学するときのSATよりも、高度な言語、数学、分析的なエッセイの能力が求められます。

入学審査の基準も異なります。成績や課外活動だけでなく、大学院では、推薦状や職業経験、入学審査時の面接に重点が置かれます。膨大な量の仕事を期日通りに仕上げることができるか、チームワークを発揮して課題に対処できるかという点が問われているのです。
ほとんどの大学院のプログラムは、GPA 3.0以上あれば受験できますが、中には、さらに厳しい基準を設けているところもあります。

また、学部のように授業の単位を取得したり、卒業のための最終プロジェクトを提出するのではなく、大学院では、卒業にあたり多岐にわたる項目を網羅的に測るテストに合格しなくてはなりません。さらに博士号取得には、論文が教授会で承認される必要があります。

充実した経験

ほとんどの大学院生は大学寮には住んでおらず、クラスメイトの年齢幅、出自、職業経験は広いため、人間関係は学部時代とは大きく異なるものとなります。
他方、大学院生向けの学内の活動や学生委員会の仕事などで、自由時間はほとんどありません。

したがって、大学生活の人間関係は、所属する部署のクラスメイトや教授陣が中心となります。

教育に対する考え方の違い

大学院の教育方法については、様々な違いがあります。それぞれの授業の負担が大きいため、3つのコースが限界です。大きな講義室で大勢で受ける授業ではなく、小さなセミナーで、参考文献リストの何千ページにも亘る内容について、積極的に議論に参加することが求められます。チームで行う作業もありますが、大部分は、自分で計画をたてて研究します。また、会議や講義、外部の研究会に参加したりすることも珍しくありません。

大学院の課程が進むと、個人の研究にさらに時間が割かれるようになります。このいつ何を学ぶかという点における自由が問題となります。自分で研究意欲を高め、優先順位を付けて取り組む力が求められます。また、大学院では、調査しつつ精緻な分析をして論文を書くため、一連の研究スキルが必須です。

高度な専門性を身に付ける

大学院のコースで学ぶ目的は、専門分野についてより深い洞察力を得ることです。もう、広く浅く教養を身につける段階ではありません。
専攻分野の専門家と関係を築き上げておくことはとても重要なので、所属大学院の教授や、仲間たちと積極的に関わることになるでしょう。フェローや見習い研究者、学者との共同研究は、専門家として成長する機会を提供してくれます。

知見の構築

大学院生は、知識を用いて分析し、自分の意見を構築し、それを学問分野の発展のために活用する必要があります。ですから、情報を集め、仮説を立て、立証の為の研究計画を立て、主張を発表することが重要なのです。
修士・博士論文の目的は、専攻する分野に新しい知見を導入することにあります。

記事:College Choice. “How Is Grad School Different from College?”
<https://www.collegechoice.net/graduate-school-3/how-is-grad-school-different-from-college/>