〇はじめに
ここ数年のSATスコアは、特に2006年以降著しく低下しています。この記事では、1972年から2023年までのSAT平均点の推移と、民族別のSAT得点のばらつきを示したグラフをご紹介します。
過去の平均SATスコア 1972-2023
まずこちらは、1972年から2022年までのSAT平均スコアの表です、SATスコアの全体的な傾向が確認できます。データはすべてCollege Board Total Group Profile Reports(2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年、2023年)から引用しています。
年 | 数学 | クリティカル・リーディング | ライティング | 年 | 数学 | クリティカル・リーディング | ライティング |
1972 | 509 | 530 | ― | 1997 | 511 | 505 | ― |
1973 | 506 | 523 | ― | 1998 | 512 | 505 | ― |
1974 | 505 | 521 | ― | 1999 | 511 | 505 | ― |
1975 | 498 | 512 | ― | 2000 | 514 | 505 | ― |
1976 | 497 | 509 | ― | 2001 | 514 | 506 | ― |
1977 | 496 | 507 | ― | 2002 | 516 | 504 | ― |
1978 | 494 | 507 | ― | 2003 | 519 | 507 | ― |
1979 | 493 | 505 | ― | 2004 | 518 | 508 | ― |
1980 | 492 | 502 | ― | 2005 | 520 | 508 | ― |
1981 | 492 | 502 | ― | 2006 | 518 | 503 | 497 |
1982 | 493 | 504 | ― | 2007 | 514 | 501 | 493 |
1983 | 494 | 503 | ― | 2008 | 514 | 500 | 493 |
1984 | 497 | 504 | ― | 2009 | 514 | 499 | 492 |
1985 | 500 | 509 | ― | 2010 | 515 | 500 | 491 |
1986 | 500 | 509 | ― | 2011 | 514 | 497 | 489 |
1987 | 501 | 507 | ― | 2012 | 514 | 496 | 488 |
1988 | 501 | 505 | ― | 2013 | 515 | 496 | 488 |
1989 | 502 | 504 | ― | 2014 | 513 | 497 | 487 |
1990 | 501 | 500 | ― | 2015 | 511 | 495 | 484 |
1991 | 500 | 499 | ― | 2016 | 508 | 494 | 482 |
1992 | 501 | 500 | ― | 2017 | 527 | 533 | |
1993 | 503 | 500 | ― | 2018 | 531 | 536 | |
1994 | 504 | 499 | ― | 2019 | 528 | 531 | |
1995 | 506 | 504 | ― | 2020 | 523 | 528 | |
1996 | 508 | 505 | ― | 2021 | 528 | 533 | |
2022 | 521 | 529 | |||||
2023 | 508 | 520 |
次に、民族別の過去のSATテストデータを紹介します。以下のスコアは、クリティカル・リーディング(批評的読解)セクションと数学セクションを合わせた平均点です(2018-2023年については、ERW(読解)セクションと数学セクションを合わせた平均点を表示しています)。
受検者の人口統計 | 2007 | 2011 | 2015 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
アメリカン・インディアンまたはアラスカ先住民 | 981 | 972 | 963 | 914 | 912 | 902 | 927 | 936 | 901 |
アジア人、アジア系アメリカ人、太平洋諸島民 | 1092 | 1112 | 1123 | 1152(アジア人)
948(その他) |
1223(アジア人)
964(その他) |
1217(アジア人)
948(その他) |
1239(アジア人)
950(その他) |
1229(アジア人)
945(その他) |
1219(アジア人)
945(その他) |
黒人またはアフリカ系アメリカ人 | 862 | 855 | 859 | 919 | 933 | 927 | 934 | 926 | 908 |
メキシコ人またはメキシコ系アメリカ人 | 921 | 917 | 905 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
プエルトリコ人 | 913 | 904 | 905 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
その他のヒスパニック系、ラテン系、ラテンアメリカ系 | 922 | 913 | 906 | 1005(ヒスパニック/ラテン系) | 978(ヒスパニック/ラテン系) | 969(ヒスパニック/ラテン系) | 967(ヒスパニック/ラテン系) | 964(ヒスパニック/ラテン系) | 943 |
白人 | 1061 | 1063 | 1063 | 1077 | 1114 | 1104 | 1112 | 1098 | 1082 |
その他 | 1009 | 1010 | 1009 | 1044(2民族以上) | 1095(2民族以上) | 1091(2民族以上) | 1116(2民族以上) | 1102(2民族以上) | 1091(2民族以上) |
回答無し | 977 | 944 | 926 | 875 | 959 | 996 | 976 | 983 | 955 |
参考: 2007 Report, 2011 Report, 2015 Report, 2018 Report , 2019 Report, 2020 Report. 2021 Report, 2022 Report, 2023 Report
*2018年から現在までの報告書の民族区分の変更に注意。
SATスコアの傾向 数字について
上記のSATのグラフからわかることは、カレッジボードがどのようにテストを構成し、採点をするかによって、スコアが大きく異なるということです。
生徒の学習年数は重要です。中等教育を修了した年数が多いほど、SATの平均点は高くなります。GPAが高いほど、SATのスコアも高くなります。
一般的に、クリティカル・リーディング(再設計されたSATでは単にリーディングと呼ばれるようになりました)のスコアは全体的に低下しているのに対し、数学のスコアは時間の経過とともにわずかに上昇しています。もちろん年によって多少の変動はありますが、全体的な傾向は明らかです。
また、社会経済的、民族的に異なるグループの生徒の成績には顕著な格差があり、その格差が縮まる兆しはありません。ACTの得点は、SATの得点とは異なり、ここ数年比較的安定しています。ACTのスコアも同じような数字のばらつきがあるものの、SATのスコアほどひどくはありません。一方で、受験者の民族的・社会経済的背景による違いは見られます。
テストの性質や受験者層の違いにより、2006年から2016年にかけて、SAT全体の平均点は合計34点下がり、テストされた3つのセクションのそれぞれで低下しました。(2017年にセクションのスコアが急上昇していることにお気づきかもしれませんが、これはSATの大規模な再設計によるところもあります。したがって、再設計されたSATのフォーマットでより多くの年のデータが揃うまで、このスコアを比較に使用することはできません)
人口統計表によると、2007年から2015年まで、白人の学生の平均点はほぼ同じでした。同様に、他のほとんどのグループは2007年から2015年まで変化も減少もみられませんでした。アジア系アメリカ人は、この期間にすべてのグループの中で最も大きなプラスの変化を経験しています。(ただし、2016年以前は、アジア系アメリカ人は太平洋諸島出身者と合算されていたことは留意しておいてください)。
人種間格差のかなりの部分に影響しているのは、民族性ではなく、質の高い教育へのアクセスかもしれません。これには、コア・カリキュラムを修了したかどうかや、SAT対策へのアクセスの有無による変動も含まれます。
2014年から2017年にかけては、SATよりもACTを受験する生徒が多かったですが、2018年以降はこの傾向が逆転し、2018年には210万人以上の生徒がSATを受験しています(同時期にACTを受験した生徒は190万人です)。
多くの生徒が、SATは現在の学校で教えられていることを正確に反映していないと考えています。2016年にSATの変更が決定されたのは、このような教育内容とテスト内容の不一致によるものかもしれません。また、ACTにシェアを奪われたことも一因であるでしょう。
批評家たちは、SATは、生徒の大学レベルでの成功の可能性を予測するというより、生徒の経歴や(テスト対策を含む)リソースへのアクセスを測るものだと言います。実際、この2つの点には相関関係がある可能性があります。というのも、こういった支援を受ける生徒は、大学で必要な支援を家族から受けている可能性も高いからです。
人種や収入によってスコアにばらつきがあるのは事実ですが、それでも学生が献身的に努力し練習することで克服できるものでもあります。
出典:Average SAT Scores Over Time: 1972–2023
https://blog.prepscholar.com/average-sat-scores-over-time
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