はじめに
海外からアメリカの大学進学を目指す留学生にとって、「どこから大学探しを始めればいいのか」という悩みはつきものです。
しかし、留学生志望者はこのプロセスを一人で進める必要はありません。
教育の専門家たちは、米国の高等教育制度そのものについて理解を深めることが、最初の一歩として非常に重要だと指摘しています。
米国高等教育制度を知ることが最初のステップ
中国出身の陳可欣(チェン・コシン)さんは、高校時代に進路指導カウンセラーとの面談を通じて、初めて「リベラルアーツカレッジ」というアメリカ独自の大学制度を知ったといいます。
それ以降、彼女は大学選びをこのタイプの学校に絞りました。
リベラルアーツカレッジでは、専門的・技術的な訓練に偏らず、人文科学・自然科学・社会科学といった広範な分野を学部段階で学ぶことができるのが特徴です。
「専攻や進路がまだはっきり決まっていなかったので、より柔軟な教育が受けられるリベラルアーツカレッジを選びました。」
― 陳可欣さん
現在、陳さんはマサチューセッツ州にあるリベラルアーツ校・ウィートン大学(Wheaton College) で3年生に進級しています。
大学探しの範囲を絞る重要性
米国には数千にも及ぶ大学が存在します。全米教育統計センター(NCES)によると、2015~2016年度の時点で4,500校以上の大学・短大がありました。
膨大な選択肢の中から自分に合った学校を見つけるためには、目的と条件を明確にし、リサーチの方向性を絞ることが不可欠です。
そこで、世界中のどこからでも始められる効果的なアメリカ大学探しの4つのステップを紹介します。
① 米国高等教育システム全般について学ぶ
ニューヨーク州立大学バッファロー校(University at Buffalo—SUNY)の国際教育担当上級副学長補佐、ジョン・ウッド氏はこう述べています。
「まずは米国の教育制度全体の仕組みを理解することが大切です。これにより、コミュニティカレッジ、リベラルアーツカレッジ、大規模な研究大学など、多彩な選択肢を把握できるでしょう。」
ウッド氏はさらにこう続けます。
「米国には、あらゆる興味・能力・学問的レベルに応える教育機関が存在します。これこそが米国が世界中の学生にとって魅力的な理由の一つです。」
学生は、陳さんのように高校のカウンセラーに相談することで、米国の学習機会に関する情報を得ることができます。
また、College Board のような信頼できるオンラインリソースも活用できます。
② 支援してくれる人々とつながる
カウンセラー以外にも、留学生を支援する多くのネットワークが存在します。
特に有用なのがEducationUSAです。
この組織は米国務省の支援を受けた世界170カ国以上のアドバイジングセンターのネットワークであり、米国留学に関心のある学生に無料の情報提供とサポートを行っています。
EducationUSAパキスタンの国別コーディネーター、ウマイル・カーン氏によれば、学生はセンターを直接訪問するだけでなく、電話・メール・Skypeなどでもアドバイザーとつながることができるといいます。
さらに、現在米国で学んでいる留学生も貴重な情報源です。
友人や家族にアメリカ在住者がいない場合でも、大学の入学事務局に連絡し、「現地の留学生を紹介してほしい」と依頼することが可能です。
また、教育フェア(College Fair)に参加するのも有効です。
フェアでは、アメリカ各地の大学担当者と直接話すことができ、大学制度の全体像を理解しつつ、気になる学校を具体的に知るきっかけにもなります。
「アメリカの高等教育システムがどのように機能しているかを理解するための基礎を築くには、教育フェアは最適な場です。」
― インディアナ州 アールハム大学(Earlham College) 入学事務局長 ジョシュア・スティーブンス氏
③ 学校選びの基準を明確にする
米国で進学先を探す際には、予算・専攻・奨学金の有無といった基本要素に加え、立地条件を重視することが重要です。
スティーブンス氏は次のように語ります。
「立地は非常に大きな要素です。なぜなら、アメリカは広大な国だからです。」
実際に、フランス・パリ出身でウィートン大学に通うクララ・コラスさんも、進学先を東海岸の親戚が住む地域に限定したといいます。
「完全に一人きりになりたくなかったのです。」と彼女は話します。
また、専門家たちは、学生が「都会での生活」か「小さな町での落ち着いた環境」かを考えること、さらには気候(温暖・寒冷)や季節の違いも事前に理解しておくべきだと強調しています。
特に初めて海外で生活する学生にとって、環境の快適さは学業の成果にも直結します。
④ 特定の学校を徹底的に調査する
EducationUSAのカーン氏によれば、パキスタンの学生が初めてアドバイザーを訪ねる際には、まず気になる大学20〜25校をリスト化するよう勧めているそうです。
このリストには以下の情報を盛り込みます:
- 学校の所在地
- 授業料や生活費などの費用
- 奨学金や経済支援制度の有無
- 標準テスト(SAT, TOEFL等)のスコア要件
- 興味のある学術プログラムや専攻分野
これらの情報は、大学ランキングサイトや大学検索エンジンなど、複数のウェブサイトで調べることができます。
リサーチを終えた学生は、EducationUSAのアドバイザーや学校のカウンセラーと協力し、最終的に出願する5〜10校へと候補を絞り込みます。
「私は常に学生にこう伝えています。『自分に問いかけてください。――どんな学校が自分に合っているのか?』」
― ウマイル・カーン氏
まとめ
アメリカの大学探しは、最初こそ圧倒されるほどの情報量に感じられるかもしれません。
しかし、正しい順序で情報を集め、専門家や現役留学生の力を借りることで、最適な大学選びが可能になります。
自分の学問的興味、生活環境、そして将来の目標を明確にしながら、
「自分に最も合う大学」を見つけることが成功への第一歩です。
出典:How International Students Can Begin a U.S. College Search
https://www.usnews.com/education/best-colleges/articles/2017-07-19/how-to-begin-a-us-college-search-as-an-international-student
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