はじめに
アメリカの大学は、世界中の幅広い層の人々にとって魅力的な進学先となっています。
留学生にとってのアメリカ大学生活とは?――知っておきたい基本とリアル
大学生活への移行は、多くの新入生にとって大きな挑戦ですが、海外からアメリカへ留学する学生にとっては、教育制度・文化・言語の違いも重なり、さらに複雑な経験となります。
とはいえ、アメリカの高等教育は世界的に高い評価を受けており、学問を志す多くの学生にとって魅力的な留学先です。実際、2023年の「Open Doors」報告書によると、2022〜2023年度には、210以上の国・地域から100万人を超える学生がアメリカの大学で学んでおり、新規入学者の数は前年より14%増加。これはパンデミック前の水準を上回る結果となっています。
国によって高等教育の在り方は異なりますが、アメリカ独自の大学制度や学びの特徴を理解しておくことは、現実的な期待を持って充実した留学生活を送るうえで非常に重要だと専門家は語ります。
一般教養科目が重視されるカリキュラム
アメリカの大学では、入学後の最初の2年間は「一般教養科目(General Education)」が中心となります。これは、専門分野の知識だけでなく、幅広い教養と多角的な視点を身につけるためのものです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の国際学生支援オフィスのディレクター、ドルセ・ドラド氏はこう述べています。
「専攻分野に特化するだけでなく、多様な分野に触れることで、学生がよりバランスの取れた視野と知識を得られるよう設計されています。」
これは、イギリスのように入学直後から専門科目に集中する国とは大きく異なる特徴です。
この教育スタイルにより、学生は批判的思考力を鍛えたり、新たな分野への興味を発見したりと、多くの可能性を広げることができます。
専攻はすぐに決めなくても大丈夫
アメリカの大学では、入学時に専攻(Major)を決めることも可能ですが、多くの学生が「未定」のまま入学します。途中で専攻を変えることも珍しくありません。
ボストン大学の国際入学部ディレクター、アン・コリヴュー氏はこう話します。
「アメリカの教育の特徴は、柔軟性のある学びとリベラルアーツの精神にあります。」
たとえば、バングラデシュ出身で現在ブランダイス大学2年生のモモさんは、入学当初は神経科学を専攻していましたが、他分野に触れるうちに興味が広がり、現在はコンピュータサイエンスとビジネスに専攻を変更しました。
「母国の教育制度では、一度決まった専攻は最後まで変えられませんが、アメリカでは学びながら自分に合った道を見つけられるのが魅力です。」
教室での学び方も異なる
アメリカの大学では、学生同士が意見を交わす「対話型」の授業スタイルが一般的です。これは、国によってはマナー違反とされることもあるため、最初は戸惑うかもしれません。
ニューヨークのニュースクールで国際学生向けプレプログラムを担当するヘザー・ヘナ氏は、こう語ります。
「アメリカでは、授業中に発言することが期待されています。受け身ではなく、積極的な参加が求められる文化です。」
また、成績評価の仕組みやアカデミック・インテグリティ(学問的誠実さ)に関するルールも、母国とは異なる場合が多く、事前の理解が必要です。
課外活動や学生生活も重視される
アメリカの大学は、教室の外での学びや経験も大切にしています。スポーツ、学生団体、ギリシャライフ(社交クラブ)など、キャンパス内には多くのコミュニティがあり、学生同士の交流の場となっています。
「自分のコンフォートゾーンを超えて、新しいことに挑戦するチャンスがたくさんあるのがアメリカのキャンパスの魅力です」と、ドラド氏は話します。
学生団体は、専攻に関係するものから、チェスクラブや留学生団体といった興味・趣味・アイデンティティに基づくものまで多種多様です。
こうした活動は義務ではありませんが、リーダーシップや人間関係スキルの習得に役立ち、全人的な大学経験を支える重要な要素となります。
寮生活はキャンパス体験の中心
アメリカの大学生活は、授業だけでなく生活全体がキャンパス内で完結する「没入型」の環境です。特に新入生は、大学の寮に住むことが多く、ルームメイトとの共同生活が一般的です。
「単に学問を追求するだけでなく、共同体の一員として生活することが重視されている」と、ドラド氏は説明します。
クラスやイベント、クラブ活動、寮での暮らしを通じて、多様なバックグラウンドの学生同士が交流し、学び合う機会が広がります。
授業料以外にも費用がかかる
「アメリカでの大学生活には、授業料だけでなく多くの隠れた費用があることを忘れてはいけません」と、ヘナ氏は警鐘を鳴らします。
2024年のルミナ財団の調査によると、多くの若者が大学の年間費用を5,000ドル以上低く見積もっていることが明らかになりました。海外からの留学生は、実費で学費を支払うケースが多く、ある程度の費用意識はあるものの、教科書代、交通費、食費、住居費、医療保険や技術関連の諸費用などを見落としがちです。
こうした費用を正確に把握することは、大学選びだけでなく、留学生活全体の計画と心構えに直結します。
奨学金や自国の支援制度、民間スポンサーなどを活用することで、経済的な備えをし、卒業後の安定につなげることも可能です。
おわりに
アメリカの大学は、単なる「勉強の場」ではなく、多様な文化・価値観・経験を通じて人間的に成長できる場でもあります。その魅力を最大限に活かすためには、制度の違いや生活面の現実を正しく理解し、自分に合ったスタイルで学びに臨むことが大切です。
出典:What to Know About the U.S. College Experience Before Applying
https://www.usnews.com/education/articles/what-to-know-about-the-u-s-college-experience-before-applying
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