留学インタビュー (16) University of California, Davis (Part2)

皆さんこんにちは。JN Language Labです。

前回の留学インタビュー記事では、カリフォルニア大学デイビス校に通う当校のOG、R.O.さんが語る、「実際に大学に入学するまでの期間に知っておきたかったこと、経験しておきたかったこと」として、「アルバイト経験」について触れましたが、今回はその続きとして、大学で必要とされている能力についてお話頂いた内容をご紹介します。

米国大学が学生に求める能力とは、一体何を指すのでしょうか。


【インタビュー(16)  Part2-R.O.さん/University of California, Davis

R.O.さんによると、米国大学の講義ではディスカッションやプレゼンテーションなど、自分の意見を積極的に主張する機会が多いそうです。その際に必要となるものは、完璧な文法や表現を用いてネイティブスピーカーと同等に流暢な英語で話す力ではなく、他者へ自分の考えを伝えたいという強い意思だと言えるでしょう。

ここで大切なことは、ピアプレッシャー(同調圧力)に負けないということです。ピアプレッシャーとは、仲間から受ける圧力のことを指します。
多くの人は、ピアプレッシャーを感じた際に、仲間に心配や迷惑をかけられないという心理が働き、集団での規律を乱さぬように行動することを選びます。しかし、その行動は必ずしも正しいものとは限らず、時には自分の意思に反して逸脱した行動に加わってしまう思春期の子供たちも存在します。
彼らのような子供たちが多いことから、米国では小学校や中学校などの授業でピアプレッシャーに関する教育を行います。
主に、ティーンエージャーが年齢と共に興味を示し始める「喫煙」「飲酒」「ドラッグ」などの誘いに対し、勇気も持って「No!」と断ることを目的とした授業内容です。
特に、集団の中で周りの目を気にする思春期の子供たちは、一度断ってしまうと、誘ってきた友人との関係が破たんしてしまうのではないかと不安を抱き、それによって断るのを躊躇することが少なくありません。そのような生徒達に、「正しいことを主張することに対して、後ろめたさを感じることは全くない。自信をもって発言しよう」という精神教育を、この授業を通じて行います。

世界と比較し、日本人の民族性として集団行動を好む傾向があるという通説は、日常生活でも垣間見ることができます。
例えば、用を足す必要もない女子生徒までが集団にくっついて他の女子生徒達とお手洗いへ行くということは、西欧文化ではあまり見ることのない光景です。
日本人特有のコミュニケーションの一つとして、言語を使わない「察するコミュニケーション」というものがありますが、まさに、この目に見えない力を用いたコミュニケーションによって、日本人の集団行動が引き起こされているのではないかと推測できます。
極力その場に居合わせている人々と同じような行動をし、お茶を濁さないよう、円滑に物事を運ぶ。その心が、日本人の集団行動であり、美学でもあります。
近年、KY(空気を読めない)という言葉が流行しました。何か突出した行動や発言を行った人物や物事などに対して、若者を中心として次第に幅広い世代の人々に使用された言葉です。
日本人の根底にある、周りを受け入れるという精神が集団行動を好むのであるとすれば、常に周りを確認し、他人と同調しなくてはならないという心構え、つまりピアプレッシャーが常に付きまとっている状態だと言えます。

R.O.さんによると、日本からUC Davisへ来ている学生は英語力には問題のない優秀な学生ばかりだそうです。しかしながら、授業中のディスカッション参加には消極的で、自発的に発言をすることは少ないと言います。
多くの日本人留学生には積極性が欠けていると言っても過言ではありません。R.O.さんが自身の大学で目の当りにしている日本人留学生の姿は、他の米国大学では頻繁に見られる光景です。

その理由として、日本の教育スタイルが日本人を受け身の姿勢へと育てているのだろう、と多くの教育専門家は日本の教育に対して苦言を呈しています。
かつて日本は、良い大学を卒業すればその後の人生は保証されていると言われ、人々は安泰な将来のためにと、与えられた教育をどんどん詰め込んでいきました。自身が置かれているその空間、環境を受け入れることに慣れている日本人だからこそ、成立していた教育方法だと言えるでしょう。
しかし、有名大学を卒業しても就職先が簡単には見つからない時代になった今、受け身教育をし続ける意味はないと、多くの専門家は唱えてます。

当校の生徒様の多くは、海外のボーディングスクールに通われていらっしゃいますので、多少は、欧米的なマインドをお持ちだと思います。ですから、日本で教育を受けて日本人らしく育った学生と比較すると、授業で堂々と意見を述べることに対して、他人の目を気にして発言が出来ないという意味での抵抗感はないかと思います。
自分の言論が、誰かを非難したり権利を否定したり、道徳的に考えて間違っていない限り、一つの意見として周りは受け入れてくれます。なぜなら、日本とは異なり欧米では、他人の意見を尊重するという教育が小さい頃から行われており、それが当たり前の認識であるからです。
このような受け入れ体制が整った環境があることを知り、信頼し、安心することが、我々日本人がピアプレッシャーに打ち勝つ秘訣であると言えるでしょう。

今後海外の学校への留学を考えている皆さん、英語を正しく理解する訓練だけでなく、自分が興味を持っていることを中心に、色々な情報にアンテナを張りめぐらせ、いざという時に自分の考えを述べるための引き出しを、渡航前から少しずつ増やしておくことをおススメします。
インターネット・新聞・書籍など、補助となる便利なツールはたくさんあります。それらをどんどん有効活用していきましょう。


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