【アメリカ大学】最も人気の専攻は?:専攻の選び方

○初めに

特定の分野を専門的に学び、学位を取得して卒業するには、最初の重要なステップである「専攻の選択」が必要です。専攻の選択は、将来のキャリアパスの方向性を示すことが多く、大学生にとっては重要な決定事項となります。新入生の20%~50%は、どの専攻にするか「未定」の状態で大学に入学します。しかし、早めに専攻を決めておくことで、最初から適切な前提科目条件を満たすことができ、教育プログラムを有利に進めることができます。

全米教育統計センターによると、学士号取得を目指す学生に最も人気のある専攻ビジネス学であり、2016年から2017年にかけて授与された学士号の総数の19%以上を占めています。ビジネス専攻に続いて人気があるのは、健康専門職社会科学歴史心理学生物学と生物医学工学コミュニケーション視覚芸術舞台芸術に関する学位で、大学で最も人気のある専攻の一部に位置づけられています。

大学では様々な分野を学ぶことができます。大学生は最終的に自分の専攻を決める時、苦しい決断に迫られます。多様な興味や目標を持っている学生は、より決断に悩むことになるでしょう。この記事では、大学で学べる様々な分野の中から専攻を決定する際に考慮すべきことや、卒業後のキャリアパスの可能性なども含めて、専攻の選び方について説明します。

○専攻を決めるタイミングは?

通常、学生は1年生の入学時に専攻を決定します。とはいえ、「未定(undecided)」や「未申告(undeclared)」の学生は、一般的に、2年生の終わりまで待って選択します。「未定(undecided)」の学生とは、まだ専攻を決めていない学生のことで、「未申告(Undeclared)」の学生とは、専攻を決めているが、まだ正式には専攻を宣言していない学生のことです。例えば、未申告の学生は、選択した専攻を発表する前に、一定の入学条件を満たす必要がある場合があります。また、入学前に専攻を決めなければならない学校もあります。

つまり、学生が専攻を決めるのは、早ければ入学申請時で遅くとも2年生の終わり頃までです。

○強みと興味

専攻を選ぶ際には、自分の強みや興味を考慮する必要があります。学業を成功させるために、学生は自分の能力と情熱に沿った学位プログラムに入学するべきです。

選択肢を絞り込むために、以下のような質問を自分に投げかけてみてください。

・自分が得意とする科目は何か?
・自分はどのようなクラブ活動や課外活動を楽しんでいるか?
・自分には特定の分野でユニークな才能があるか?
・自分のキャリア目標は何か?

その答えに基づいて、学生は選択すべき専攻について考える必要があります。例えば、高校の数学で優秀な成績を収めた学生は、コンピューターサイエンスや工学の学位取得を検討するかもしれません。文章を書くのが得意な学生は、英語の学位を取得することが考えられるでしょう。自分でビジネスを始めたいと思っている学生は、アントレプレナーシップ(起業家精神)に重点を置いたビジネス学を専攻すると良いでしょう。

○学問分野

以下に挙げた学問分野は、一般的に学生が検討することが多い、人気な選択肢の一部です。学生は将来入学し得る学校や教育プログラムを見て、その学校にどのような学問分野が設置されているのかということや、それぞれの専攻の必要条件を見極める必要があることを覚えておいてください。既に進みたい学問分野が決まっている高校3年生は、その分野で最高のプログラムを提供している大学に出願するとよいでしょう。

・Arts and Design(芸術・デザイン)

芸術やデザインの研究分野では、絵画・イラスト・彫刻・グラフィックデザインなど、様々な媒体を対象としています。基本原則として色彩理論やバランス、均衡(プロポーション)、コントラストなどを学びます。また、美術史や批評も学びます。学生は学習過程の中で、アーティストやデザイナーとして自分の作品のポートフォリオを作成します。

芸術やデザイン専攻には、スタジオアート、ドローイング(鉛筆やペンで絵を描くこと)、ペインティング、デジタルメディア、写真などが含まれます。将来の職業としては、グラフィックデザイナー学芸員独立アーティストが考えられます。

・Business and Mangement (ビジネス・経営)

ビジネスや経営専攻では、企業や組織の様々な運営方法について学びます。ビジネス学は様々な業界に応用でき、学位を取得することで経営幹部やその他の上級管理職への道が開かれることもあります。

ビジネスや経営専攻の例としては、ファイナンス、人事管理、ホスピタリティ・マネジメント、経営学などがあります。この分野の学位を取得すると、上級管理職幹部職就任に繋がります。また、卒業生は経理や人事部長その他の管理職としてのキャリアを目指すことも可能です。

・Computers and Technology (コンピューター・テクノロジー)

コンピューターやテクノロジーの研究分野は、コンピューターのハードウェアやソフトウェアアプリケーション、プログラミング言語の開発などを対象としています。今日の世界では、大多数の企業がビジネスの原動力としてコンピューターやテクノロジーのインフラに依存しています。

コンピューターやテクノロジーの分野で人気のある専攻は、コンピューターサイエンスやサイバーセキュリティ、情報技術、データ分析などです。卒業生は、ITマネージャーアナリストコンピューターソフトウェアのエンジニアシステムアドミニストレータして活躍しています。

・Criminal Justice and Legal (刑事司法・法律)

刑事司法や法律を学ぶことは、法執行機関や弁護、社会サービスなどのフィールドでキャリアを歩むことに繋がります。学生は、法制度の仕組みや犯罪行為の性質などのテーマについて学びます。この分野の学士号は、上級ロースクールの学位を取得するための基礎となります。

専攻の例としては、更生学、犯罪学、刑事司法などがあります。弁護士になることを目指して大学院進学を計画している学生は、通常、prelaw studies (ロースクール進学課程)を専攻します。刑事司法専攻の学生のその他の就業機会としては、法執行機関更生組織での仕事などが挙げられます。また、卒業生は、パラリーガルソーシャルワーカー権利擁護者として働くことも可能です。

・Education and Teaching (教育・教示)

教育学や教職専攻は、K-12(幼稚園から高校3年まで)の教師になる道を提供し、特別支援教育や幼児教育などの他の分野を専門とすることもできます。教職学位の取得を目指す人は、数学や歴史などの特定の内容を専門にすることが多いです。

この分野の専攻には、初等教育、特別支援教育、管理学、図書館学などがあります。将来のキャリアパスとしては、クラス担任から特別支援教育の診断士などが挙げられます。また、教育学の学位を取得すると、校長や学校管理者図書館員カウンセラーとして働くことができます。

・Liberal Arts and Humanities (リベラルアーツ・人文科学)

リベラルアーツと人文科学は、いくつかの異なるトピックを扱っています。人文科学には、文学、演劇、映画、音楽、ジャーナリズムが含まれます。リベラルアーツには、社会科学、自然科学、数学の分野が含まれています。

リベラルアーツや人文科学の傘下にある専攻には、心理学や哲学、英語、人類学、政治学、歴史などがあります。また、天体物理学や微分方程式等などの数学・科学系学位の専攻もあります。リベラルアーツ専攻の学生のキャリアの可能性は、心理学者海洋生物学者マーケティングコンサルタント脚本家など、多岐にわたります。

○キャリアパス

学生は、専攻を決めるのが早ければ早いほど、学位取得に必要なコースワークを早く始めることができます。そのためには、将来のキャリアパスを考慮して決めなくてはなりません。進路を選ぶ際には、学位取得にかかる費用や、自分の選んだ職業に就いたときにどれくらいの収入が期待できるかを考慮する必要があります。ある職業の将来の雇用市場は、新卒者がその分野でどのような機会を得られるか、また、どの程度の収入を得られるかに影響を与えます。

米国労働統計局(BLS)には、職業別、地域別に分類された賃金データが多数掲載されているため、このような事前調査を行うには絶好の出発点となります。また、BLSは特定の職業に対する今後10年間の需要も予測しています。特定の職業に対する需要が高ければ高いほど、卒業生がその分野に参入する際の機会も増えます。教師のように、追加の資格や免許が必要な職業もありますので、学生は全体の教育予算スケジュールにこれらを考慮することを忘れないでください。

○学校選び

学校を選ぶ前に具体的な専攻を決めることで、入学する学生は、学校が提供するプログラムに基づいて大学を選ぶことができます。入学希望者は、学校を検討する際に、教員・研究機会・インターンシップ・学内グループ等を調べ、どのプログラムが優れているかを確認する必要があります。

また、各校の課程のカリキュラムを確認し、提供されている様々な選択科目のコース説明にも目を通しましょう。そうすることで、その大学に入学した時に何が期待できるかを知ることができます。

学位取得を目指す場合、特にオンラインの場合は、認定を受けた教育機関に入学することをお勧めします。認定校は、独立した認定機関によって承認された証です。認定を受けた大学の卒業証書は、非認定校のものよりも高い評価を受けます。非認定校では、特定の職種に就くための最低学歴を満たすのに十分な学位プログラムが用意されていない可能性があるため、避けるべきです。

○興味のある専攻が複数ある場合の対処法

複数の分野に興味を持っている学生は、今すぐに1つの専攻に絞る必要はありません。実際には、大学生活の中でさまざまな学問分野を探求するための道がいくつかあります。

例えば、ダブルメジャーや副専攻(マイナー)を設けることも可能です。この方法は学生の負担を増やすかもしれませんが、2つの専攻を追求することで、卒業生の将来の機会キャリアパスの可能性を広げることができます。また、学生は、単一の専攻に副専攻を加えることも可能です。副専攻とは、二次的に集中して学ぶ分野のことで、正規の専攻よりも少ないコースワーク(学習課題)で取得できます。例えば、広告学を専攻する学生が写真学を副専攻にするという様に、副専攻は通常、主専攻を補完するものです。

また、ダブルメジャーや副専攻を設ける意図を持ちながらまずは1つの科目を専攻することも可能です。学生はすぐにダブルメジャーに取り組む必要はありません。ある分野に興味が無くなった場合は、単一の専攻に戻れば良いのです。学生たちは自分に合った専攻を探すために、様々な学科に手を出します。

さらに、自分の興味のある分野の学内のキャンパス・グループに参加して、後にその分野を専攻するかどうかを検討することもできます。大学では、新しいアイデアを発見したり、多様な学友と出会ったりする機会があります。このようにして、1学期間のコースに参加することなく、学科や専攻について知ることができます。学生は、学科に関連するキャンパス・グループやオープンハウスに参加して確認することが可能です。

ほとんどの学生は、大学入学時には何も決まっていない状態であるということを覚えておいてください。1年生の間にいくつかの入門授業を履修して、自分が何に興味があるかを確認することもできます。また、スクールカウンセラーとの面談により、特定の専攻に向けた指針を得ることもできます。

〇自分の人生で何をすべきか分からない場合

大学では、自分の興味のあることを知るきっかけになるので、専攻「未定」で入学するのが一般的です。もうひとつの選択肢は、専攻を変更することです。大学生の少なくとも3分の1は最初の3年間で専攻を変更します。人生で何をしたいのか分からない学生は、単純にいろいろな授業を受けて、どの科目に最も興味を持ったかを記録しておけばいいのです。様々なイベントやクラブの集まりに参加することで、より多様な潜在的関心分野に触れることができます。

また、大学1年目や大学生活全体を通してアカデミック・アドバイザーと面談することも、専攻を決めるのに役立つ上、後に専攻を変えたいと思ったときの助けにもなります。これらのリソースは、プログラムへの入学条件を全て満たしているかどうかを確認する上で非常に重要です。また、意思決定の過程にも役立ちます。

記事:”How to Choose a Major”
https://www.collegechoice.net/choosing-a-college/choosing-a-major/

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