【SAT】テスト・オプショナルポリシーは終わるのか?SATのスコアが重要な理由

はじめに

2024年、いくつかのエリート大学がテスト・オプショナル入試(SAT/ACTのスコア提出を任意とする制度)を廃止し、SAT/ACTのスコアを入試プロセスの一部として再度課す方向性を取りました。

 

これは大学入試における大きな変化であり、今後他の大学でも採用される可能性があります。大学入試のさらなる変化が起こる可能性がある中、どのように大学出願プロセスを計画すればよいのでしょうか?どの大学がテスト・オプショナルで、どの大学がSAT/ACTのスコアを要求するのか、どのように知ればよいのでしょうか?

 

ここでは、変化する大学入試情勢に備えるために知っておくべきヒントや内部事情をお伝えします。

 

なぜ大学はSAT/ACTスコアを復活させるのか?

コロナウイルスが大流行した際、何百もの大学が統一試験に関する条件を変更しました。多くの大学は、出願者がSAT/ACTのスコアを提出するかどうかを選択できる、テスト・オプショナル制に切り替えたのです。スコアを提出しなかった学生が入学審査で不利になることはなく、スコアを提出した学生が有利になることもありませんでした。

 

パンデミックは、過去10年間かけて広まりつつあったテスト・オプショナル入試の傾向を加速させました。この変化は、人種や所得水準などの人口統計学的要因が、学生のテストスコアに不公平な影響を与えることを科学的研究が示したことから始まったものです。このデータは、大学関係者の間に入試における偏り、特にテストの点数が多様性の欠如に寄与しているかもしれないという懸念を抱かせました。

 

コロナウイルスが大流行すると、家庭の苦難、教室での学習の中断、自宅待機の義務化などにより、多くの生徒にとってSATやACTの準備や受験が難しくなりました。そうした中、このような統一試験は大学入試に利益というよりむしろ重荷をもたらすように見受けられたのです。

 

このような課題に対応するため、大学は多様性と公平性を促進しようとテスト・オプショナル入試を採用しました。しかし今、こうした方針が再び変わりつつあります。

 

コロナ後の数年間のデータから、統一試験の得点は高校の成績と組み合わせれば、大学での功績をかなり正確に予測できることがわかったのです。このデータに基づきいくつかのエリート大学は、テストスコアは入試プロセスをより偏ったものにするのではなく、より偏りのないものにするのに役立つと判断しました。その結果、テスト要件を復活させる大学が出てきています。

 

しかし新たに復活したテスト・ポリシーは、テスト・オプショナル入試の時代以前のポリシーとは異なっている可能性があることに留意しましょう。イェール大学のように、ACTやSATの代わりにアドバンスド・プレースメント(AP)や国際バカロレア(IB)試験のスコアの提出を認める学校もあります。一方で、カリフォルニア工科大学のようにSATかACTのスコアを必須とし、それ以外の試験のスコアは認めない学校もあります。

 

テスト・オプショナルは有効だったのか?

大学がテスト・オプショナル・ポリシーに移行し始めた頃、その目的は入試をより公平なものにすることでした。統一試験批判者の多くは、裕福な学生と同じようにテスト対策リソースへのアクセスを持っていない、社会的に脆弱な立場にある志願者にとって不利であると考えていました。

 

コロナウイルスのパンデミックにより、米国でも有数の名門校を含む多くの学校が一時的にテスト・オプショナルとなり、この理論が試されることになりました。結果として、多くの大学ではテスト・ポリシーが撤廃されると志願者数が増加しました。例えばコーネル大学では、テスト・オプショナルへの変更後、志願者が30%増加したといいます。

 

志願者の増加により、合格率も縮小しました。コーネル大学の合格率は、テスト・オプショナル制の実施後、2019年の15%から2022年には10%に低下したのです。スタンフォード、ハーバード、ブラウンといった他の一流大学のデータにも同様の傾向が見られました。つまり、テスト・オプショナル・ポリシーによって、全員にとって大学に入学することの難易度が上がったということです。

 

各大学はこれを、テスト・オプショナル制に関するデータを収集し、今後もこの制度を維持すべきかどうかを判断する好機と捉えました。ダートマス大学による重要な研究のひとつでは、テスト・オプショナル・ポリシーが導入される前の2017年から2019年の入試データを分析し、スコア提出が義務付けられていない2021年と2022年のデータとの比較がなされました。

 

研究者たちは、テスト・オプショナル・ポリシーが、社会的に弱い立場の生徒集団に実際は悪影響を及ぼすことを発見しました。テストスコアはその生徒の同級生と比べての成績を強調するのに役立ちます。例えば、成績の悪い高校でSAT1400点を取った場合、より多くのリソースを利用できる学校で1400点を取るよりも印象的です。その結果テストスコアは、周辺化されている生徒の成績をより正確に数値化するのに役立ちます。

 

さらに、出願書類からテストの点数が取り除かれると、他の項目がより重視されるようになります。これには課外活動や功績が含まれ、より裕福な背景を持つ生徒が有利になることが多いです。また大学は小論文の評価をより重くするため、小論文指導などのリソースにアクセスできない、成績不振高校など周辺化された生徒に影響を与える可能性があります。

 

ダートマス大学の調査はほんの一例に過ぎませんが、多くのトップ校がテスト必須の方針に戻りつつあるという事実は、これらのデータが異常値ではない可能性が高いことを物語っています。他の学校も同じような傾向を見ており、それがテスト必須の方針を復活させている理由です。しかし、この決定が大学入試制度における不公平を魔法のように解決するわけではないので、各校は出願プロセスを誰にとってもより公平なものにする新しい方法を模索し続けるでしょう。

 

テスト・オプショナルの大学を調べる方法

今後さらに変更される可能性があるため、上位校がSAT/ACTのスコアをどのように扱っているかを把握することが、大学出願を成功させる鍵となります。

しかし、どの大学がテスト・オプショナルで、どの大学がSAT/ACTを必須としているのかを知るにはどうすればよいのでしょうか?

 

カレンダーを見る

まず、学校がいつ入学方針を変更する可能性があるかを把握しておくとよいでしょう。基本的に8月から12月の早期入学締め切りまでの数ヶ月間に、学校が入試の変更を行う可能性はあまりありません。受験生が願書をまとめ始めた後に入学方針が変更されることはないのです。

 

その代わり、各大学は最終入試締切後に試験方針の変更を発表する可能性が高いと言えます。最近の傾向では、大学は1月から5月初旬の間に入試の変更を発表しています。例えば、イェール大学とダートマス大学は2月に、ハーバード大学とブラウン大学は3月上旬に、コーネル大学は4月に、新しい試験要項を発表しました。この時期であれば、各大学は変更を実施する時間的余裕があり、志願者も数ヶ月の準備時間を得ることができます。

 

各校の入試ページをチェック

それでも、重大なニュースを見逃さないようにする最良の方法は、入試プロセスを通じて志望上位校の情報を常にチェックすることです。

 

そのための良い方法の1つが、各学校の入学試験サイトを定期的にチェックすることです。ほとんどの大学の入試情報ページには「出願チェックリスト」があり、出願に必要な準備と提出をすべて説明しています。そこには、出願に必要なテストスコアに関する情報も掲載されています!

 

また、多くの大学のウェブサイトにも出願リンクがあります。大学のリストが決まったら、各大学の出願ページに目を通し、テスト方針の更新を見逃していないか確認しましょう。

 

ソーシャルメディアを利用している場合は、学校のプロフィールやアカウントをフォローしましょう。また、メールマガジンを購読したり、大学からの公式なお知らせに登録したりして、各校の入試プロセスに関する最新情報を入手しましょう。

 

入学試験の変更に備えるための3つのヒント

大学によっては、テスト・オプショナル・ポリシーの変更を先延ばしにしているところもあるかもしれませんが、次の変更に備えた準備をするのは先延ばしするべきではありません!テスト要件が変更された際の大学入試に備えるための3つのヒントをまとめました。

 

ヒント1:SATまたはACTの準備と受験

志望校が現在テスト・オプショナル制であっても、必ずしも常にそうとは限りません。そのため、SATまたはACTの準備をし、受験することが重要です。そうすれば、あらゆる統一テストの可能性に備えることができます。

 

仮に、志望校がテスト・オプショナル制であり続けるとしましょう。そうだとしてもSATまたはACTを受験することが、あなたにとって最善の方法であることに変わりはありません!テスト・オプショナル制の学校では統一試験のスコアは要求されませんが、それでも出願書類に含めた場合は、そのスコアも考慮されることになります。

 

SATやACTのスコアを提出することで、大学はあなたの学生としての総合的な能力を把握することができます。また、スコアが上位の場合、有利になることもあります。(自分のテストのスコアが良いかどうかわからない場合は、ACTのスコアSATのスコアに関するガイドを参照してください。)

 

ヒント2:スパイク・アプローチ

出願書類を目立たせるもう一つの方法は、課外活動に関して“スパイク・アプローチ”をとることです。入試委員会は、少ない部活動でも情熱を持って熱心に取り組んでいる志願者を好むものです。

 

ここでは、これを出願スパイクアプローチと呼びます。これは、数え切れないほどの大学進学希望者が、志望校への合格通知を勝ち取るために試されたテクニックです。

 

スパイク・アプローチはテストのスコアでは分からないあなたの学生としての側面を入学審査委員会に伝えることができるため、SAT/ACTのスコア提出と一緒に行うことでとても効果的なのです。試験では、あなたが数学に適性があることや、試験を受けるのが得意であることが示されるかもしれませんが、スパイク・アプローチは、あなたの献身、忍耐力、好きな分野でスキルや目標を伸ばす意欲を示すためのものです。

 

ヒント3:素晴らしい小論文を書く

大学入試で変化が少ないだろうと考えられるものの1つが、入試小論文です。小論文は、たとえ数千人の志願者がいたとしても、なぜあなたを受け入れるべきなのかを学校に示すチャンスです。

 

また、SATやACTのスコアが期待したほどでなかった場合にも、小論文はあなたが志願者として適格である理由を説明するのに役立ちます。この場を使って、大学入学に向けてどのような準備をしているかを表現し、あなたの献身さと情熱で入試カウンセラーを納得させることができます。

 

エッセイを目立たせたいなら、早めに書き始めましょう。このプロセスは、書く必要のある補足的なエッセイを含め、各校のエッセイ要件を理解することから始まります。また、Coalition App essaysCoalition App essaysのポイントもチェックしておくと、これらのタイプのエッセイを書かなければならなくなった時のために良いでしょう。

 

そして、要件が分かった段階で書き始めましょう!大学の小論文の書き方で一番覚えておくべきことは、真実を伝えることです。自分の人生、自分らしさ、目標について、真実である何かを伝えましょう、そして伝え方も大切です。

 

 

出典:Is Test-Optional Over? Why Test Scores Still Matter
https://blog.prepscholar.com/test-optional-over-test-scores-still-matter

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