【アメリカ大学】米国大学で視覚芸術を学ぶ価値とは
はじめに
芸術大学や美術学部で学位を取得した人々にとって、キャリアの選択肢は「美術館やギャラリーで展示する」ことだけに限られません。近年では、デザインや広告、起業、さらにはテクノロジーと融合した新しい領域など、幅広い道が開かれています。
この記事では、米国の労働統計や専門家、卒業生の声をもとに、アート学位がどのようなキャリアを切り開くのかを紹介します。
アート職の収入の現実
まず押さえておきたいのは、アートやデザインの分野で「高収入」を実現するのは簡単ではないという点です。
米国労働統計局(BLS)のデータによれば、2019年5月時点での年収中央値は以下の通りでした。
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クラフトアーティスト・ファインアーティスト:48,760ドル
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インテリアデザイナー:56,040ドル
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グラフィックデザイナー:52,110ドル
一方で、アートディレクターの年収中央値は94,220ドルと、全職業の平均を大きく上回っています。
高収入が期待できるアート関連職種
BLSの統計によると、アート系学位取得者の中でも高収入が見込める職種は以下の通りです。
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アートディレクター:年収中央値 9万ドル超
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マルチメディアアーティスト/アニメーター:年収中央値 7万5千ドル超
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プロデューサー・ディレクター:年収中央値 約7万5千ドル
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ファッションデザイナー:年収中央値 約7万4千ドル
また、建築家(8万ドル超)、工業デザイナー(約6万9千ドル弱)のように、芸術性と工学を融合した分野も安定した収入が見込めます。
美術館・ギャラリーでのキャリア
アート系学位取得者の多くが憧れるのが、美術館やギャラリーでのキャリアです。
美術館長協会の2019年調査によると、北米における学芸員関連職の報酬は以下のように大きな幅があります。
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キュレトリアル・アシスタント(学芸員補佐):約42,000ドル
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チーフ・キュレーター/キュレーション部門ディレクター:128,365ドル
地道なキャリア構築によって、芸術分野でも高収入を得られる可能性は十分にあります。
芸術家の声:「お金では測れない報酬がある」
教授の視点:芸術は意義ある挑戦
アイオワ州ドート大学のマット・ドリッセル准教授は、次のように語ります。
「もし高収入を望むなら、アーティストにはならない方がいいでしょう。ニュースで報じられるような数百万ドルのオークションは例外であり、日常ではありません。ですが、自主性や好奇心、創造性を求めるのであれば、芸術のキャリアは大いに挑戦しがいのある道です。」
ドリッセル氏はニューヨーク・アカデミー・オブ・アートでMFAを取得した画家でもあります。彼は、芸術の報酬は経済的なものだけではなく、人生を豊かにする力にあると強調します。
「新型コロナ禍で多くの人が学んだように、視覚芸術を通じて人生を表現することは癒しや励ましになります。そしてその創造性を共有することは、悲しみや不安の時期でも、喜びやインスピレーションの時期でも、コミュニティを築く力を持っています。」
起業家精神で道を切り開くアーティストたち
ケース1:アート教育を基盤に企業を創業
カリフォルニアのサングラス企業 Knockaround の創業者兼CEO、アダム・モイヤー氏はこう語ります。
「私は2つのアート学位を持ち、7年間大学で芸術を学びましたが、ビジネスの授業は一度も受けたことがありません。それでも、私は会社を立ち上げ、多くの収益を得ています。運もありましたが、私にできたのだから、あなたにもできるはずです。」
ケース2:直感と粘り強さで築いたキャリア
タイル会社 Mercury Mosaics の創業者でCEOのメルセデス・オースティン氏は、学位を取得する前に美大を中退しましたが、直感を頼りに道を切り開きました。
「私はお金だけを動機に成功している人を見たことがありません。直感に従い、自分が『これだ』と思えることを基盤にして、調査・努力・粘り強さでロジックを組み立ててきました。」
ケース3:アートを商品に展開する新しいビジネスモデル
シカゴ美術館附属美術大学の卒業生で画家のアニカ・コナー氏は、自作の絵を日用品(トートバッグや枕カバーなど)に展開し、幅広い顧客層に販売しています。
「芸術には創造的な側面だけでなく、ビジネスの原則も欠かせません。収益を得て成長するには戦略が必要で、ただ願うだけで実現するものではないのです。」
コナー氏は「アーティストだからビジネスを学ぶ必要はない」という誤解を批判し、現代のアート教育にはビジネスや自己PRの要素を取り入れるべきだと強調しています。
アート業界のキャリアの広がり
アート学位取得者の中には、広告代理店やデザイン会社、大手ブランドのマーケティング部門などで活躍する人も少なくありません。
ジョージア州の広告業界で活動し、映画制作会社 Zuza Films を共同設立したジム・スプルール氏はこう述べます。
「私はジョージア大学で美術学士号を取得し、卒業前から仕事が決まっていました。芸術の学びは広告業界やデザイン業界など、多くの雇用主から必要とされています。」
また、彫刻家でガラスアーティストでもあるケイトリン・ヴィタロ氏(ニュージャージー州ハンタードン美術館勤務)は次のように述べます。
「仕事は必ずしも高給ではなく、経済的な成功が見えるまで時間がかかるかもしれません。ですが、芸術に情熱を持っているなら、それに挑戦する価値はあります。私自身、経済的に苦労した時期もありましたが、別の仕事をする方がよほど苦痛だったでしょう。」
ヴィタロ氏はさらに、アートの学位が予想以上に多くのキャリアを切り開くことを指摘します。
「映画やテレビのシーン、広告のビルボード、さらには公共の自転車スタンドまで、私たちの生活のあらゆる場面にアーティストの手が加わっています。」
まとめ:情熱と柔軟性が未来を切り開く
アートの学位は必ずしも高収入を保証するものではありません。しかし、情熱と柔軟な視点、そしてビジネス感覚を持つことで、芸術の世界には数え切れないほどのキャリアの可能性があります。
芸術を学ぶという選択は、単なる経済的成功を超えて、人生に深い意味やつながりをもたらすキャリア形成と言えるでしょう。
出典:What Can You Do With a Visual Art Degree?
https://www.usnews.com/education/best-graduate-schools/articles/what-can-you-do-with-a-visual-art-degree
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