【アメリカ大学】米国大学でアニメーターを目指す方法

はじめに

テレビアニメや長編映画におけるたった1分間の映像を制作するために、アーティスト、ディレクター、プロデューサー、さらには高度な技術者たちが数週間から時には数か月もの時間を費やし、緊密に連携して作業を行うことがあります。アニメーション制作はきわめて時間と労力を要する分野であり、そこに挑戦しようとする人には、まず何よりもその「過程そのものを楽しめるかどうか」という資質が求められます。

カリフォルニア芸術大学(California Institute of the Arts)のキャラクター・アニメーション・プログラムのディレクターであり、同校映画・映像学部の副学部長を務めるマイヤ・バーネット氏はこう語ります。

「飽きてしまったり嫌気がさしてしまわないことが大切です。しかしそれ以上に、その制作過程が本当に好きかどうかを自問してほしいのです。」

ここからは、アニメーターとはどのような職業であり、どのような経路でこの世界に入っていけるのかを詳しく見ていきます。


アニメーターとは何か

一般的に「アニメーター」という言葉は、漫画やイラストを基盤とした映像制作に関わるあらゆる人を指すことがあります。しかし、特に大手アニメーションスタジオにおいては、この肩書きを持つ人々はキャラクターの動きや表情を生み出すことに直接的な責任を負う専門職です。彼らはしばしば、絵コンテ・アーティスト、キャラクター・デザイナー、背景美術家などと密接に連携しながら仕事を進めます。


アニメーション業界に入るための心構え

長編アニメーション映画の制作には、しばしば実写映画よりも長い年月がかかります。業界のベテランたちは口をそろえて、「勤勉さ」はこの世界で生き残るための絶対条件だと語ります。さらに、アニメーションはチームワークが前提であるため、自分のアイデアを他人の意見とすり合わせ、批判を受け入れる柔軟さも不可欠です。

アニメーション・ギルド・ローカル839組合の会長であり、大人向けTVアニメ『リトル・デーモン』の監督を務めたジャネット・モレノ・キング氏は次のように述べます。

「アニメーションの仕事では、本当に多くの『メモ』をもらいます。決定権を持つ上層部から制作アシスタント(PA)に至るまで、誰もが修正点を指摘してきます。だから、自分の作品に過度な愛着を持ちすぎてはいけません。」


求められる資質とスキル

将来のアニメーターには、細部に強くこだわる性格が求められます。ロバート・モリス大学のアカデミック・メディア・センター所長でありメディア学助教授のティモシー・G・ジョーンズ氏は、アニメーション制作の魅力のひとつは「映像制作者がビデオの各フレームに何が起こるかを、きめ細やかにコントロールできる点」にあるといいます。大規模な撮影現場で自己主張が苦手な学生にとっては、むしろアニメーションの方が自分の意図を反映させやすいかもしれません。

また、バーネット氏はアニメーター志望者に対し、デッサン力視覚的観察力を磨くことの重要性を強調します。

「ピアノ奏者が指の形や動きを整えるために、毎日スケールやアルペジオの練習を欠かさないように、アニメーターにも手と目の高度な協調が求められます。」


アニメーション教育と訓練

アニメーションや関連分野の学位がなくても、質の高いポートフォリオさえあれば業界入りは可能です。バーチャルスクール「アカデミー・オブ・アニメーション・アート」のCEOで創設者のジャスミン・カタティカーン氏はこう断言します。

「私は修士号を持っていますが、正直、誰も気にしません。高校を卒業したかどうかすら尋ねられたことがありません。あなたのポートフォリオがすべてを物語るのです。」

もちろん、優れたアニメーション学校に通うことで、同じ志を持つクラスメートや才能豊かな教授陣から直接学べるという大きなメリットがあります。優良校では、学生が複数の短編アニメーションを制作し、それらを徹底的にブラッシュアップする機会が与えられます。この成果は就職活動時に重要な武器となります。

カリキュラムは学校によって異なります。伝統的な2D手描きアニメーションに特化するところもあれば、3D CGIアニメーションに力を入れ、モデリング、リギング、ライティングといった専門分野を網羅するところもあります。コミュニティカレッジや職業訓練校のプログラムは特定職種向けに短期間・低費用で実践的スキルを習得できます。一方、学位授与型の学校ではストーリーテリングや色彩設計など、より幅広い知識とスキルを体系的に学びます。


入学の難易度と著名校

アニメーション学科を志望する場合、多くの学校で出願時にポートフォリオ提出が求められます。作品の質は合否を左右する極めて重要な要素です。例えば、ユタ州のブリガム・ヤング大学アニメーションセンターは年間60〜75件の応募のうち、20〜25件しか合格させないと明記しています。

卒業生が主要スタジオで活躍する著名校としては、カリフォルニア芸術大学(CalArts)、リングリング・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインサバンナ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(SCAD)などがあります。これらの学校の卒業生は、ドリームワークス、ディズニー、ワーナー・ブラザースなど世界的なスタジオに数多く就職しています。


アニメーション業界の実情

アニメーションは成長産業であり、2021年5月時点で米国の特殊効果アーティストおよびアニメーターの中央値賃金は78,790ドル。米国労働統計局によれば、2030年までに雇用は16%増加すると見込まれています。これは全職業の平均成長率の2倍という高い水準です。

活躍の場は映画やテレビに限らず、広告、ゲーム、教育、医療、報道など多岐にわたります。多くのアニメーターはフリーランスとして活動し、主要都市圏以外からリモートで仕事をする人も少なくありません。しかし、制作スケジュールは非常にタイトで、プレッシャーが大きく、スピード感ある対応が求められます。

キング氏はこう語ります。

「番組や映画の制作は、集中力と忍耐力を極限まで必要とします。進行は非常に遅く、関わる人も多いため、その作品を『完全に自分のもの』と主張することはほぼ不可能です。」

 

出典:Animation Schools and Becoming an Animator
https://www.usnews.com/education/best-graduate-schools/articles/a-guide-to-animation-schools-and-how-to-become-an-animator

「中学生・高校生対象:米国大学進学対策 個別相談(一部国内大学国際系大学も含む)」

進学までの準備、レベル、必要な要素、試験、面接対策などについて1時間でご説明します。

【実施方法】ご来校(対面)・オンラインどちらでも可。
【対象】当校で受講検討の中学生・高校生またはその保護者様。
【費用】無料。

こちらよりお申込み可能です。