【アメリカ大学】米国大学入試がかつてないほど難化している理由5選

はじめに

この5年間で、大学入試は大きく変化しました。試験選択型と試験必須型の方針の往復アファーマティブ・アクションの撤廃などにより、今日の大学入試はかつてないほど複雑になっています。
ここでは、現代の入試情勢を理解し、志望校合格の可能性を高めるために知っておくべき5つの主要な傾向を分かりやすく解説します。


傾向1:トップ校の入学率は低下している

トップ校の大学入試は、かつてないほど競争が激化しています。入学者数は変わらない一方で、志願者数が増加しているため、合格率が下がっています。その結果、ハーバード大学、プリンストン大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などでは、ここ数年で合格率が5%を下回るケースが出ています。

最近の主要校の入学率(抜粋)

学校 2024–2025 2023–2024 2022–2023 2021–2022
ブラウン大学 未入手 5.23% 5.06% 5.51%
ハーバード大学 未入手 3.45% 3.24% 4.01%
マサチューセッツ工科大学(MIT) 未入手 4.8% 3.96% 4.11%
プリンストン大学 4.62% 4.49% 5.7% 4.38%
イェール大学 3.87% 4.5% 4.57% 5.31%

出典: ブラウン大学共通データセットハーバード大学共通データセットMIT共通データセットプリンストン大学共通データセットイェール大学共通データセット

これらの変化は一見わずかに見えますが、実際には大きな差を生みます。例えば、ある学校に30,000件の出願があり合格率が5%なら1,500名ですが、4%に下がると1,200名に減り、合格者が300名も少なくなるのです。

また、アイビーリーグや選抜的な私立大学だけでなく、公立大学でも競争は激化しています。ジョージア工科大学、ミシガン大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校などでは、現在5人に1人以下の割合でしか合格しません。かつて「ターゲット校」や「セーフティ校」と考えられていた大学でも、合格の確率が下がっている点に注意が必要です。

公立大学の入学率の変化(一例)

大学 2024–2025 2023–2024 2022–2023 2021–2022
フロリダ州立大学 24.21% 25.39% 25.03% 37.06%
ジョージア工科大学 14.07% 16.46% 17.14% 18.30%
フロリダ大学 未入手 24.02% 23.35% 30.14%
ミシガン大学(アナーバー) 未入手 17.94% 17.69% 20.15%
ノースカロライナ大学チャペルヒル校 15.35% 18.73% 16.83% 19.24%
テキサス大学オースティン校 26.63% 29.13% 31.39% 28.75%
バージニア大学 16.81% 16.86% 18.66% 20.74%

出典: 各大学の共通データセット

たとえばUNCチャペルヒルでは、2023–2024サイクルで57,902件中10,852名が合格(合格率18.73%)でしたが、翌年は65,535件の出願に対して10,209名のみ合格(合格率15.35%)となり、出願者数の増加にもかかわらず合格者数が減少しました。

結論: 学生は自分の大学リストを批判的に見直し、すべての志望校が「競争的すぎるリーチ校」にならないようバランスを取ることが重要です。そうすることで、卒業時に合格通知を手にできる確率が高まります。


傾向2:テスト方針は変わりつつある

COVID-19パンデミック期には、ほとんどの主要大学がテスト任意(test-optional)の方針を採用しました。一時は、標準化テストが入試から消えるのではないかとも見られましたが、近年これが逆行しつつあります。特に競争が激しい学校でその傾向が顕著です。

2024年には、ハーバードイェールダートマスブラウンが将来の志願者に対してSATまたはACTの要件を復活させると発表しました。これは、テストスコアが幅広い背景の学生を評価するうえで依然として信頼できる指標であるという研究の蓄積を受けたものです。

さらに、テストを義務化していない大学でも、「テスト優遇(test-preferred)」や「テスト期待(test-expected)」といった表現で事実上の優先を示す学校が増えています(例:オーバーン大学はtest-preferred、パデュー大学はtest-expected)。つまり良いスコアを提出する応募者が、他に目立つ要素がない場合には優遇される傾向があるのです。

2024–2025年度のデータでは、数年間の減少の後にテストスコア提出者数が約9%増加しました。これはテスト必須/テスト柔軟方針の復活と、学生が再びテストを利用して出願で目立とうとしていることの両方を示しています。


傾向3:GPAはかつての意味をなさない

長年、GPA(評定平均値)は学力を示す信頼できる指標でした。しかし近年、成績のインフレ(grade inflation)が進行し、GPAの信頼性は低下しています。変化により、入学事務局は成績表の評価方法を再考しています。

ACT社の研究によれば、2010年から2021年の間に平均高校GPAは3.17から3.39に上昇しました。一方で、同期間に全国的な標準テストの点数は低下しています。特に2018年から2021年の上昇が顕著で、2022年には主要科目でAまたはBを取得する高校生が約90%に達しました。

このようなインフレは、学校や地区を越えた学生の比較を困難にします。エモリー大学の入学審査部長は率直にこう述べています。
「率直に言って、私たちは最近のGPAをあまり信用していない。成績は膨れ上がっており、以前ほど授業成績に結びついていない。」

影響:

  • ただのオールAでは他の応募者と差がつきにくい。

  • SAT/ACTスコアやAP試験の結果、さらに「履修の厳しさ(course rigor)」が、より重視される傾向にあります。

  • 加えて、出願で目立つためには「スパイク(特定分野での極端な強み)」を作ることや、優れた小論文を書くことが重要です。


傾向4:AIが大学小論文の役割を再構築している

人工知能(AI)ツールは、学生や入試担当者の出願へのアプローチを大きく変えました。ある調査では、2023–2024サイクルの志願者の3人に1人が小論文作成にAIを利用していたとされています。これを受け、大学側は小論文にどの程度重きを置くかを見直しています。

具体的な対応例:

  • デューク大学は、以前小論文を含む6カテゴリに数値評価を付け、合計点で出願書類をランク付けしていましたが、2025年現在は小論文をその数値評価に含めない方針に変更しました。デューク入学部長のクリストフ・グッテンターク氏は、小論文は依然重要だが、もはや小論文がその学生の本来の作文能力を反映しているとは限らないと説明しています。

  • プリンストン大学は、教師のコメント付きの採点済み論文の提出を求めることで、より検証可能で本物の学生の作業サンプルを評価する方向を模索しています。

今日の賢い志願者は、AIの「使ってよい場面」と「使うべきでない場面」を理解しています。入試方針に違反しないよう、大学ごとの要件を確認してください(AI使用を明示的に禁止する大学も出てきています)。


傾向5:早期出願(Early Decision/Early Action)はすべてを早める

出願のタイミングは、出願先と同じくらい重要です。Early Decision(ED)Early Action(EA)は、競争の激しい学校で合格のチャンスを上げる有効な手段となっています。

事例:

  • ブラウン大学のClass of 2029では、ED合格率が17.9%であったのに対し、前年のレギュラー決定合格率はわずか3.8%でした。

  • ペンシルベニア大学では、新入生の約半数が早期ラウンドで採用されました。

この傾向は例外ではなく、ED/EAで多くの有望な志願者を確保し、レギュラー決定開始前に入学枠の大部分を埋める大学が増えています。

2025年以降に出願を検討している学生へ:
志望校を早期出願するかどうか慎重に検討することをお勧めします。志望校の選択に自信があり、制約(例えばEDの拘束力など)を理解しているなら、早期出願は合格率を高める有効な戦略です。


2025年以降に大学進学を目指す学生への3つの助言(クイック・テイクアウェイ)

以下は、上の傾向を踏まえた実践的なアドバイスです。

その1:順応性を持つ

大学入試は急速に進化しています。出願者数の増加、標準化テストの復活、GPAのインフレなどを踏まえ、入試担当者が今何を重視しているかを理解しましょう。出願書類の「核」を固めつつ、課外活動、推薦状、テストスコアなど全体をバランスよく整えることが重要です。

その2:強力な戦略を持つ

合否は成績だけでは決まりません。バランスの取れた大学リスト作成、早期出願の評価、出願書類の差別化など、入念な戦略が合格確率を左右します。

その3:本物であること(Be Authentic)

書類上「完璧」に見える応募者が増える中、大学は個性や学校への適合性をより重視するようになっています。自分らしさを大切にし、ほかと差が出る部分を強調しましょう。

 


 

出典:The 5 Trends Making College Admission Harder Than Ever
https://blog.prepscholar.com/college-admission-trends-harder

「中学生・高校生対象:米国大学進学対策 個別相談(一部国内大学国際系大学も含む)」

進学までの準備、レベル、必要な要素、試験、面接対策などについて1時間でご説明します。

【実施方法】ご来校(対面)・オンラインどちらでも可。
【対象】当校で受講検討の中学生・高校生またはその保護者様。
【費用】無料。

こちらよりお申込み可能です。