〇初めに
共通テストのリーディングは、多くの学生が学校で行っているごく普通のリーディングとは大きく異なります。これは、中等学校の入試に使用される共通テストであるSSATにも非常によく当てはまります。
SSATのリーディングセクションでは、限られた時間の中で、様々なフィクションやノンフィクションの短い引用文を読み、理解度を問う問題に答えることが求められます。受験者は、40分間で40問の多肢選択問題と7つの文章に取り組みます。高いプレッシャーがかかるリーディング問題ですが、練習すれば上達することができます。
この記事では、下記のテーマに沿って説明していきます。
・SSATリーディングについての基礎知識
・SSATリーディング問題の種類
・文学的技巧(Literary Devices)に関する言葉について
・SSAT リーディング:一般的なアドバイス
・SSATリーディングセクションの練習教材
・最後に
〇SSATリーディングについての基礎知識
SSAT.orgによると、Upper Level(8~11年生用)のSSATのリーディングセクションは、「読んだものを理解する能力を測る」ことを目的としています。
ここでは、SSATリーディングセクションについてこれまでに分かっていることをまとめました。
・形式:40分間、40問の多肢選択問題
・内容:各250~350語程度の文章7つ
・ジャンル:文芸小説、人文科学(詩を含む)、科学、哲学、社会学
リーディングは、最初の数学セクションに続いて2番目に取り組むセクションです。
SSATのUpper Level (8~11年生用)とMiddle Level(5~7年生用)のリーディングセクションには、形式上の違いはありませんが、Upper Levelの方が、文章の内容がやや高度なものになっています。尚、SSATは、パッセージの出典を明記していません。
以下は、パッセージの一例です。
We had a consuming desire to see a pony rider, but somehow or other all that passed us streaked by in the night, and so we heard only a whiz and a hail, and the swift phantom was gone. But now the driver exclaims: “Here he come!” Every neck is stretched and ever eve strained.
Away across the endless dead level of the prairie a black speck appears. Soon it becomes a horse and rider, rising and falling, sweeping nearer and nearer, and the flutter of hoofs comes faintly to the ear. Another instant a whoop and hurrah from our upper deck, a wave of the rider’s hand, but no reply, and man and horse burst past our excited faces and go winging away like a belated fragment of a storm!
出典:SSAT Upper-Level Sample Questions
SSATのリーディングセクションの問題は、”specific”または”general”と考えることができます。質問の横に、”S”や”G”と書いて質問を分類することが役に立つと感じる人もいるでしょう。
“Specific”な質問は、文章の特定の行や2つの行に関する質問です。例えば、単語の意味や具体的な詳細などについて問われます。
“General”な質問は、著者の目的や視点、文章の主旨など、文章全体について尋ねるものです。
〇SSATリーディング問題の種類
SSAT.orgに掲載されているSSATのリーディング問題のタイプを、上述したSpecificとGeneralのカテゴリーに分けて見てみましょう。
問題形式1:主旨を理解する
このタイプの質問は、個々の段落や文章全体の主旨を識別する能力を測ります。
例題:Which of the following most accurately states the main idea of the passage?
(次のうち、最も正確に文章の主旨を述べているのはどれでしょうか?)
これらの質問に上手く答えるためには、文章全体を考えてみましょう。包括的な意見ではなく、特定の詳細に焦点をあてた解答の選択肢は除外してください。
最初に文章を読む際に、メインアイディアを把握するために文章に注釈をつけることをお勧めします。これにより、先の主旨を問う質問を予測し、読解力を高めることができます。
問題形式2:詳細を見つける
詳細問題は、文章中の特定の詳細を正確に理解しているかどうかをテストします。
例題:According to the passage, why did Annie stop writing postcards?
(文章によると、なぜAnnieはポストカードを書くのをやめたのでしょうか?)
このような詳細を問う質問に答えるためには、文章に戻って探すのが賢明です。
質問に含まれるキーワード(上記の例では、”postcards”がキーワードになりうる)を探し、それを文章の中で探してみましょう。借り物競争のように、必ず文章からの証拠で自分の答えを裏付けましょう。
問題形式3:推論する
推論とは、証拠や論拠に基づいた論理的な結論のことです。
例題:It can be inferred from the passage that….
(本文から推測できることは・・・)
推論では、文章中に考えや意見が直接述べられているわけではありませんが、文章中に何らかの論理的結論を導く手がかりがあります。解釈する際には、論理的に飛躍しすぎない様に注意しましょう。SSATの推論では、文章から大きく離れることはありません。
例えば、”Bailey enjoys travelling.”という文章があるとします。この文章から、Baileyがこの活動(旅行)に喜びを感じていることを推論することはできますが、彼女がヨーロッパ旅行を楽しんでいることを推論することはできません。
問題形式4:文脈から単語やフレーズの意味を導き出す
文脈の言葉を問う問題は、受験者が試験当日に素早く、簡単に多くの点数を獲得することができる問題です。これらの問題は、特定の文脈における単語の意味を問うものです。
例題:In the context of the passage, the word “store” most nearly means….
(この文章の文脈において、”store”という単語の意味に最も近いのは・・・・)
これはあくまで、文脈における単語の意味を問う問題です。そのため、その単語を知らなくても、文章の中でその単語がどのように使われているかのヒントを探せば、この問題に答えることができるはずです。
その単語の意味を100%知っていたとしても、その単語が従来とは異なる方法で使われていないかどうか、文章をチェックしなければなりません。
問題形式5:筆者の目的を判断する
一般的に、著者がある文章を書いたり、ある言葉を用いたり、何かの詳細を参照したりすることには、特定の目的を持っていることが多いです。このタイプの問題は、様々な方法で、この意図や目的を見分ける能力を測ります。
例題1:What is the author’s purpose for writing this passage?
(筆者がこの文章を書いた目的は何ですか?)
このような質問の解答の選択肢には、”to describe”, “to identify”, “to explain”などのフレーズが含まれていることがよくあります。
著者の目的を問う問題では、文章のジャンルと出典を考えることが役に立ちます。文章が、科学的な調査研究であれば、おそらく “to explain (説明する) ”という解答を求めていると思われます。新聞の社説であれば、”to persuade (説得する) ”がよいでしょう。
この例のように、特定の修辞的選択の観点から著者の目的について問われることもあります。
例題2:The author most likely repeats the phrase “I have longed to move away” in the first stanza in order to….
(著者が、最初の節で “I have longed to move away ” というフレーズを繰り返しているのは、おそらく…..のためでしょう)
このような質問に答えるには、文脈を見ることが重要です。周囲の文脈の中で何がメインアイデアなのかを見極めましょう。正解はそれと関係があるはずです。
詳細を歪曲したり、大げさに主張したりしているもの、文章の他の場所にある意見を参照するような解答は除外しましょう。
問題形式6:著者の態度やトーン(論調)を判断する
このタイプの問題は、著者の目的を問う上述の質問と非常によく似ています。実際、著者の「目的」と「トーン(論調)」は、しばしば文章中でリンクしています。
例題1:The author of this passage would most likely agree that….
(この文章の著者は、….に同意していると考えられるでしょう)
例題2:The tone of the second paragraph could best be described as….
(第2パラグラフのトーンを最も適切に述べているのは・・・)
このような問いに答える際には、著者が具体的にどのような形容詞や動詞を選んでいるかを見ることで、トーン(論調)を判断することができます。
例えば、 “shrill” や “unexpected”というような単語を使っていれば、”suspense” や “urgency”といったトーン(論調)であると判断できるでしょう。
また、これらの質問に答える際には、著者の目的も念頭においてください。例えば、著者の目的が「説明 (to explain)」であれば、“informative” “interested” “professional”といったトーン(論調)になる可能性があります。
問題形式7:意見や主張の理解と評価
このタイプの問題は、著者の意見を正確に理解する力をテストするものです。
例題:The author uses all of the following claims to prove his point that the pros of vaccines outweigh the cons EXCEPT…?
(著者は、ワクチンの長所が短所を上回るという彼の主張を証明するために、…..を除いて以下の全ての主張を使用しています。)
このタイプの問題では、選択肢が一つに絞られるまで、文章中に書かれている内容の選択肢を全て削ってください。
問題形式8:文章中の情報に基づいて予測する
予測問題は推論問題とよく似ていますが、文章中の詳細まで踏み込んだ問題になる傾向があります。
例題:This passage most likely comes from….
(この文章は、おそらく….から来ているだろう)
このような問題の選択肢には、”an atlas (地図帳) “、”an essay (エッセイ) “、”a speech (スピーチ) “などの出典があります。この形式の問題の他のバリエーションとしては、文章の適切なタイトルや著者が次に何を論じるかを問うものがあります。
〇文学的技巧(Literary Devices)に関する言葉について
SSATのReadingのトピックリストには出てこない出題形式があります。それは、Literary Devices(文学的技巧)というものです。
文学的技巧(Literary Devices)
SSAT.orgのSSAT練習教材(特にUpper Level)でよく出題される問題形式です。
例題:What literary device is used in the underlined portion?
(下線部にはどのような文芸的技巧が施されていますか?)
文学的技巧とは、「作者がある効果を生み出すために用いるテクニック」のことです。SSATのために理解すべき主な技巧は以下の通りです。
―Simile(直喩):likeやasを用いて2つのものを比較する(”I’m hungry as an ox”=私は牛のようにお腹がすいている)
―Metaphor(隠喩):likeやasを用いずに2つのものを比較する(”She is a walking encyclopedia”=彼女は歩く百科事典だ)
―Personification(擬人法):人間以外のものに人間の特徴をもたせる(”The wind howled at night”=夜、風がうなった)
その他、irony(言われていることと実際に起きていることの対比)やonomatopoeia(表現している音に似た言葉。例:”Bang! Zoom!”)なども役に立つでしょう。
〇SSAT リーディング:一般的なアドバイス
SSATリーディングセクションの出題形式に慣れるのも一つの手です。
しかし、SSATのリーディングセクションでは、更なる課題に直面します。40分で40問を解かなければならない本セクションは、ほとんどの学生にとって時間との戦いになります。
また、文章によって難易度が違うこともあります。例えば、古い文章や詩のパッセージは、理解するのがより難しいかもしれません。
以下は、SSATリーディングの一般的な時間管理方法と難易度の高い内容に対する助言です。
・文章を読みながら、その文章の地図を思い浮かべてみてください。メインアイデアを述べているthesis sentenceはどこですか?そこに下線を引いておくと、問題に答える際に戻って参照することができます。文章全体はどのような構造になっていますか?また、文章を読みながら、メインアイデアやキーワードに注釈をつけることを強くお勧めします。
・半分だけあっているような中途半端な正解に注意してください。1%でも間違っていれば、それは100%間違っています。文末が文頭と矛盾していないか、全ての選択肢を十分に読み込んで確認しましょう。
・極端な選択肢は避けましょう。“always(常に)”や“never(決して)”などの言葉を含む選択肢は証明するのが難しいため、ほとんどの場合、間違いです。
・文章を読む前に、問題を見てみましょう。そうすることで、より効率的に文章を読むことができます。
・文章を順番通りに読まなくても構いません。簡単な文章から取り組み始め、難しいもので終わらせましょう。
・とにかく沢山練習しましょう。定期的にSSATのリーディングセクションを受験することで、全体的に効率を上げることができ、ベンチマーク(基準点)を確立することができます。
リーディングセクションはSSATの中で最も問題数が少ないセクションです。つまり、他のどのセクションよりも、一問一問が重要だということです。
〇SSATリーディングセクションの練習教材
残念ながら、質の高いSSATリーディングの練習教材は限られています。しかし、一貫した練習は、どのセクションにおいてもSSATのスコアアップをする上で欠かせません。
SSATのリーディング練習に役立ち得るその他の教材をいくつかご紹介します。
・Tutorverse: Upper-Level SSAT: 1500+ Practice Questions
・Tutorverse: Middle–Level SSAT: 1000+ Practice Questions
・Test Prep Works: Success on the Upper-Level SSAT
・Test Prep Works: Success on the Middle-Level SSAT
〇最後に
時間と努力次第で、合格見込みの高いSSATリーディングのスコアを取ることができます。
本記事で紹介した読解問題の対策に加え、読書を習慣化することは、このセクションにおいてのみ役立つということを心に留めておいてください(VerbalとWritingセクションは言うまでもありません)。
また、定期的に練習することも大切です。SSATのリーディングセクションは時間を計って着実に受験し、問題形式への対応力を高めることが高得点への確実な近道となります。
出典:PrepMaven “SSAT Reading: Your Introductory Guide”
https://prepmaven.com/blog/preparing/ssat-reading/
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