〇初めに
高校生活では、社会的・教育的経験を豊かにするために、さまざまな活動を選択することができます。その中でもユニークな効果をもたらすのが、ボランティア活動です。
高校によっては、卒業するために一定量のサービスラーニングを積むことを義務付けているところもありますが、義務付けられていない場合でも、生徒はボランティア活動の機会を歓迎すべきであると、専門家は考えています。
ボランティア活動は、生徒が地域社会に良い影響を与え、組織が使命を果たすのを助ける具体的な方法であり、同時に生徒の大学受験や就職のための履歴書を補強するものでもあるのです。
カリフォルニアに拠点を置くボランティアマッチの教育トレーニングディレクターであるジェニファー・ベネット氏は、ボランティア活動は、高校生と組織の双方に利益をもたらすものだと言います。学生であれば、「何を学ぶことができるか?何を探求できるのか?自分の周りの人や、自分が助けられるかもしれない人を変えるために、自分のコミュニティでどんな問題や課題が見えるか?」などと考えるべきであるとベネット氏は述べています。
これから余暇にボランティア活動をすることを検討すべき多くの理由のいくつかを紹介します。
〇高校生がボランティアに参加するメリット
地域社会への貢献
ボランティア活動の直接的な利点の1つは、生徒が地域社会と調和して恩返しをすることができることです。
人員や予算の関係で、ボランティアに頼っている団体もあります。また、多くの10代の子どもにとってボランティア活動は、普段出会うことのない文化や人々を体験するチャンスでもあります。そして普段ならば知ることのない地域の問題を知る機会にもなります。現在、インディアナ大学ブルーミントン校マウアー法学部の学生であるローラ・ラスクは、まさにそのような経験をしていました。高校時代、彼女はインディアナ・リーガル・サービスという、低所得者に無料の法律サービスを提供する非営利団体でボランティアをしていました。そこで初めて、ホームレスの人たちが法的な問題に直面し、助けを求める場所があまりないことを知りました。
「これらは、現実の人々にとっての現実的な問題なのです」とラスクは言います。
また、ラスクは高校の生徒会にも所属し、社会奉仕活動を重視していました。ラスクは、「このような経験や自分で探した経験は、高校時代には非常に貴重なものでした。」そして、「この街で、これまで意識したことのないような、まったく異なる生活体験をしているさまざまな背景の人たち、たとえば、さまざまなコミュニティ問題などに出会うことができました。」とラスクは語りました。
ケンタッキー州ボウリンググリーンのウォーレンイースト高校で大学・職業移行準備コーチを務めるメラニー・キーリング氏は、このような視点を身につけることは、学生が大学に入学し、最終的には職業に就く際、より豊かな人間性を身につけるために役立つと述べています。
「お返しをしたいという気持ちから、このような活動をすることは、地域社会とのつながりを示すことになります」と彼女は言います。
キャリアのスキルや興味を深める
進路や大学の専攻が決まっていない高校生にとって、ボランティア活動は興味のある分野を絞り込むのに役立ちます。
7年生から12年生の生徒が社会奉仕活動の機会を見つけられるよう支援する会社、TeenLifeのCEO兼創設者のマリー・シュワルツ氏は、生徒は実地での肉体労働からオフィスや事務のスキルまで、さまざまなスキルを学ぶことができると述べています。
「ボランティアに参加できないことは、成功への最大の障害です。ボランティアは、成功への機会を無償で得る方法の一つです。」
ジョージタウン大学教育・労働力センターで編集方針を担当するキャサリン・キャンベル氏は、ボランティアは、学生がどのようなスキルを持ち、実社会で活用したいかを知るための「リスクの少ない方法」とも言えると言う。「あることをやりたいと考えていても、実際に職場に行ってみると、思っていたのとは違うことに気づくかもしれません」とキャンベル氏は言います。
学生が非営利団体やその他の地域団体に長期間従事すれば、仕事と同じ目的を果たすことができると専門家は言う。学生は、責任感、時間を守ること、説明責任を果たすことなどのスキルを学びます。また、リーダーシップも養われ、仕事の任せ方も学ぶことができます。こうした能力は、大学の願書でアピールでき、最終的に雇用主が求めるものだとキーリング氏は述べています。
「多くの雇用主は、4.0点満点の人材と引き換えに、気概のある人材、積極的に仕事に取り組む人材、セルフスターターの人材を求めています」と、彼女は言います。
人脈づくりとメンターシップ
さらに専門家は、学生がボランティア活動で築いた人間関係は、将来、大学受験や就職の際にも役立つと言います。
ラスクは高校時代、法律関係のボランティアに加え、地元の政治家の選挙キャンペーンに参加しました。その経験が公共政策への情熱に拍車をかけ、そこで築いた人間関係が大学やロースクールでのインターンシップにつながったと話します。大学では下院議員のもとでインターンをし、この夏はLGBTQのための無料法律サービスを提供する非営利の公民権擁護団体、ラムダ・リーガルで過ごしました。
シュワルツ氏は、学生や、後に元ボランティアを採用した企業から、同じような話を聞いたといいます。
高校生のためのボランティア活動
履歴書をたくさんのボランティア経験で埋め尽くしたいと思うかもしれませんが、専門家によると、学生は集中した方がいいそうです。
シュワルツ氏が言うように、”あちこちに行く”ことは、履歴書を充実させようとしている学生であることを大学に示すことができる一方、”より少ない回数で、より濃密な体験”をすることは、学生がプロジェクトをやり遂げたこと、大義へのコミットメントを示すことができます。
TeenLifeやVolunteerMatchなどの組織は、学生や親が自分の住んでいる地域で、適用できるボランティア活動の機会を見つける手助けをしてくれます。またCOVID-19の大流行により、バーチャルなボランティアの機会も増えています。例えば、幼児教育に力を入れているブリリアント・デトロイトでは、バーチャルリテラシーのチューターや絵本の読み聞かせのボランティアを募集しています。
シュワルツ氏が提案する、さまざまな分野での実践的な機会をいくつか紹介しましょう。
・地元の高齢者センターでコンピュータを教える
・レース・フォー・ザ・キュアやリレー・フォー・ライフのようなウォーカソン(走った分だけ親戚から寄付金をもらう)で手伝う
・地元のフードバンクに食料を寄付する
・政治キャンペーンや選挙当日の投票所で働く
・非営利団体のためにソーシャルメディアサービスを提供する
・アフタースクール・プログラムで生徒を指導する
・ボーイズ&ガールズクラブ、スペシャルオリンピックス、ベストバディーズインターナショナル、ビッグブラザーズビッグシスターズなど、地元に支部を持つ団体でボランティア活動をするのもよいでしょう。
どのようなボランティア活動を選んだとしても、その経験によって子どもたちは成長するとベネット氏は言います。ベネット氏曰く、「ボランティア活動は、子供たちが情熱を傾けられることを探求し、自分にとって重要なことを見つけ、そして変化をもたらす機会を与えてくれるのです。」
記事:U.S.News. “Why High School Students Should Consider Volunteer Opportunities”
https://www.usnews.com/education/best-high-schools/articles/why-high-school-students-should-consider-volunteer-opportunities
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