【SAT】新しいデジタルSATについて知っておくべきこと

〇初めに

2022年1月25日、カレッジボードは、SATが鉛筆と紙で受けるテストからコンピューターベースのテストに変更になることを発表しました。
この記事では、SATが他にどのような変更を行うのか、なぜこのような変更を行うのか、そしてこの変更はいつから適用されるのか?などの疑問や、それ以外のことについてもご紹介していきます。

〇デジタルSATにはどのような変更点があるのか:6つのポイント

SATの形式や内容、1600点満点の採点方法など、多くの主要な部分は変わりません
では、新しいデジタルSATでは、どのような点が変更されるのでしょうか。以下は、最も重要な6つのポイントになります。

①:SATをコンピューターで受験

新しいSATでは、鉛筆と紙ではなく、コンピューター上で受験することになります。試験会場のコンピューターで受験することも、自宅からノートパソコンを持ち込むことも可能です(ただし、試験会場や学校によっては、コンピューターのみで受験するよう求められる場合もあります)。
パソコンやノートパソコンを利用できない生徒には、カレッジボードからSAT受験用のパソコンが貸与されます。また、SATの実施中にインターネットがダウンしても、あなたの学習内容は保存され、テストの時間が失われることはありません。
そして、試験がデジタル化されたとはいえ、教室やテストセンターで試験監督のもとで受験する必要があることに留意することが重要です。自宅や自分の好きな時間にSATを受験することはできません。

②:試験時間が3時間から2時間に

カレッジボードは、新バージョンのSATの正確なフォーマットを発表していませんが、テスト時間を1時間短縮することを発表しました。つまり、SATの試験時間は3時間から2時間になります。そのため、各セクションが若干短縮されることが考えられます。

③:1問あたりの時間が長くなる

また、カレッジボードは、デジタルSATでは「1問あたりの解答時間が増える」と述べています。SATを受験する多くの学生にとって、時間のプレッシャーは大きな問題であり、セクションのすべての問題に答える前に時間切れになってしまうことはよくあることです。今回のアップデートで、それが少しでも緩和されることが期待できます。
現在、生徒が1問回答するのに使える時間は約47秒から1分26秒(セクションによる)なので、新しいSATでは、この平均が長くなることになります。

④:数学セクション全体で電卓が使用可能に

現在、SATの数学は、電卓を使えるパートと使えないパートに分かれています。しかし、デジタルSATでは、すべての数学の問題でパソコン上の電卓が使えるようになります。したがって受験者は、試験当日に正しい電卓を持参しなければならないという心配をしなくてよいのです。

⑤:リーディング問題にいくつかの変更点

新しいデジタルSATでは、リーディングパッセージがいくつか変更されます。


・より短くなる
・各パッセージに1問しか出題されない
・より幅広いトピックをカバー


現在、SATのリーディングには6つのパッセージがあり、それぞれ約500〜750語の長さです。各パッセージには、約10問の問題が出題されています。今回デジタルSATに移行することで、各パッセージをより簡単に、より速く読み解くことができるようになるでしょう。

⑥:スコアの返却が早くなる

現在、SATのスコアの返却には2週間から6週間かかり、あなたが4つの無料スコアレポート(※) に選んだ大学には、スコアが返却されてから約10日後に提出されます。
デジタルSATにおいては、カレッジボードは「数週間ではなく数日以内にスコアを返す」と約束しています。これにより、長い間待つ必要がなくなるだけでなく、12月など、遅い時期にSATを受験したとしても、大学の出願期限に間に合わせることができる可能性があります。

※SATの受験を申し込む際に、4校までは無料でCollegeboardから直接大学にスコアを送付してもらうことができます。

〇デジタルSATはいつから実施されるのか

カレッジボードによると、デジタルSATは、米国外では2023年3月、米国内では2024年以降に施行されると発表しています。また、PSAT/NMSQTとPSAT 8/9の新しいデジタル版は2023年に、PSAT 10は2024年にデジタル化される予定です。
SATのスコアに有効期限はなく、過去5年以内に取得したスコアであれば、ほぼすべての大学が受け入れてくれます。
新しいSATは、受験生にとって受験しやすくなるように設計されており、多くの受験生は、より短く、時間的プレッシャーが少なく、紙に丸を書く必要がないテストを高く評価するでしょう。

しかし、紙と鉛筆で受験することを好む学生もいます。それは、その形式が自分に合っているから、あるいは、これまでSATの模擬試験を受けたり、勉強したりしてきた形式だからかもしれません。デジタルテストが導入される時期にSATを受験しようと思っているなら、最終的にどちらを選ぶかはあなた次第です。また、両方のバージョンを受験し、どちらのスコアの方が高いかを確認することも可能です。

〇なぜSATは変更されるのか

そもそも、カレッジボードはなぜこのような大幅な変更を行ったのでしょうか?
SATがデジタル化されるという噂は、実は何年も前からありました。COVID-19の流行当初、カレッジボードはテストセンターが閉鎖されたため、在宅オンラインSATの提供を検討していましたが、2020年6月にその計画は進めないことを発表しました。
しかし、最終的にはデジタル版のSATを提供することになりました。世界がますますオンライン化する中で、彼らがこのようなことをするのは理にかなっていると言えます。GRE、MCAT、GMATなど多くの標準化されたテストは、すでにほとんどコンピューターベースのテストとして提供されています。多くの高校生が学校でコンピューターベースのテストを受けるようになり、その形式になじむようになりました。
そのため、コンピューターベースのSATに移行することは、SATとカレッジボードを現在の受験基準に合わせるという意味で、理にかなっています。
SATをより短くし、1問を解くのに費やす時間を増やすといった他の変更点については、大きく2つの理由があります。


1つ目は、受験生のストレスを軽減するためです。SATは大学入試に重要なだけでなく、その長さとトリッキーな問題を解く速さから、ストレスの多い難しいテストであることは以前から知られています。カレッジボードは、長年にわたってSATを徐々に短くしてきました。実際、SATで高得点を取るための知識があっても、テスト疲れや時間切れなどの問題で、低いスコアになってしまうことがしばしば議論されてきました。
2021年11月に実施されたパイロットテストにおいては、デジタルSATを受験した学生の80%が、「従来のSATよりもストレスが少ない」と感じていることが判明しています。


2つ目の理由は、SATをより公平なものにするためです。一般に、標準化されたテストでは、裕福な生徒ほど高いスコアを獲得し、少数派の生徒や貧しい家庭の生徒は低いスコアを獲得する傾向があることは、以前から知られています。SATのスコアが低いと、大学への出願に悪影響を及ぼし、他の部分が優秀であったとしても、上位校への入学を断念してしまうことがあります。カレッジボードは、SATを受験する際の難易度を下げ、カーンアカデミーの無料学習教材を拡充するなど、SATをすべての学生にとってより公正なものにするための取り組みを続けています。

〇これらの変更は大学入試にどのような影響を与えるのか

これらの変更は発表されたばかりで、大学入試にどのように影響するか正確に予測することは困難ですが、今のところ、大きな変化は生じないだろうと考えられています。

SATの一般的な内容、難易度、採点方法はあまり変わらないので、大学はデジタル版SATを現行版とほぼ同じように見るだろうと予想されます。また、大学は家庭環境など学生自身がコントロールできないものに関して学生が不利にならないように努めています。そのため、あるバージョンのSATを受験した場合、他のバージョンを受験した生徒と比較して大学受験に悪影響を及ぼす心配はないでしょう。
しかし、このような新しい変更にかかわらず、大学側のSAT(ACTも同様)に対する見方は近年大きく変わってきています。多くの大学は、標準テストのスコアを徐々に重視しなくなり、GPA、高校の授業、課外活動など、他の出願書類の要素をより重視するようになっています。COVID-19の大流行で、多くの学生が数ヶ月間標準テストを受けることが困難、あるいは不可能になり、この傾向はさらに加速しました。2020年と2021年には実質的にすべての大学がテスト選択制となり、そのうち数百校はこの先もテスト選択制を続けることを決定しました。テスト選択制になった学校を受験する際は、SATやACTのスコアを出願書類の一部として提出するかどうかまで選ぶことが出来ます。もし提出しない場合は、出願書類の他の構成要素の比重が高くなります。
カレッジボードはこのような傾向をよく理解しており、SATの新しい変更の多くは、従来のような長くて難しいテストを受けることを敬遠していた学生にとって、より魅力的なテストにするために実施されました。
しかし、カレッジボードが行った世論調査では、83%の学生が大学出願時にテストのスコアを提出するオプションを希望しており、ほぼすべての大学が現在もスコア提出のオプションを提供していることから、SATの重要性がすぐになくなるわけではありません。

〇まとめ:SATのデジタル化

2022年1月、カレッジボードは大きな変化を発表しました。SATはデジタル化され、まもなく全世界で鉛筆と紙ではなく、コンピュータ上でのみ提供されるようになります。
この変更は、アメリカ国外の学生は2023年、アメリカ国内の学生は2024年まで実施されませんが、自分で勉強の計画を立てるために、変更点を知っておくことは重要です。SATの主な変更点のまとめは以下の6つです。

1.デジタル化される
2.試験時間が短くなる(3時間から2時間へ)
3.1問解答するのにかけることのできる時間が長くなる
4.数学の全問で電卓が使用可能になる
5.リーディングセクションはより短く、より的を絞ったものになる
6.スコアは数週間後ではなく、数日後に返却される

大学側はデジタルSATを現行のSATとほぼ同じように見ていると思われますが、全体として、標準化されたテストのスコアは、多くの学校への入学にそれほど重要ではなくなってきています。もし、どちらのSATを受験するかで悩んでいるのであれば、自分の強みをより発揮できると思う方を選んでください。

記事:PrepScholar. “What You Need to Know About the New Digital SAT”

https://blog.prepscholar.com/sat-goes-digital

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